日本に帰ってきて仕事の感覚を取り戻すのと、知識のアップデートのために研修会に参加。今回は津田真人先生によるポリヴェーガル理論の基礎講座。ここ最近基礎的な内容の講演会は少ないと聞いていたので、ラッキーです。ボリュームもあるので全てをまとめることはできませんが、印象に残ったところをまとめていきたいとおもいます。それでは、どーぞ。
研修内容|ポリヴェーガル理論の基礎内容
今回の研修は生理神経学、または神経心理学の内容。今一番興味があるポリヴェーガル理論の研修会。この理論で著名な津田真人先生による1日研修会でした。基礎的な内容となっていますが、午前中は脳神経と自律神経に関する解剖学的な内容。午後は臨床を意識した応用的な内容でした。簡単にまとめます。
学んだこと、印象に残ったこと
ざーっと、自分が印象に残ったところかきあげます
ポリヴェーガル理論の誕生
これはそんなに大したアレではないんですが、ポリヴェーガル理論が誕生したのは1994年10月8日らしい。生みの親のポージェス博士が学会の会長講演で発表されたのが最初。もともとポージェス博士は、心拍変動と自律神経の関係の研究をしており、乳幼児における突然死の研究などからポリヴェーガル理論を打ち立てたんだとか。学生時代から神経系の研究を行い、ポリヴェーガル理論としてまとまったのが40代の頃。20年近く黙々と神経系の研究をしてその上で理論としてまとめたとかカッコよすぎです(笑
動きながら接触するヒトは異常行動?
背足迷走神経複合体の話からの派生。背足迷走神経複合体は摂食や消化、排泄といった休息などを司る副交感神経の一つなんですが、自然界では摂食をする時には1箇所にとどまり自分が安心できるところでゆっくり食事をするというのが基本。四足歩行だとまぁそれしかできないというのもあると思いますが、獲物を咥えて移動することこそあれど(それも自分が安全だと感じられるところへの移動)、移動しながら食事をするということはないわけです。それが、今の日本社会。歩きながら食事をとったり、時に走りながら食事をとることも!? これは動物としては異常なこと。我々は動物ですから、自然界の流れを無視した行動は心身に歪みを生むわけです。動きながらの食事も当然歪みを生み、動く神経系は交感神経の働き。交感神経が働いている時は消化器系の動きが抑制されるため、消化がうまく進まず体に負担がかかるわけですね。みなさん、食事はゆっくり落ち着いてとりましょう。
ポリヴェーガル理論では意識のレベルでの主張に騙されない
ポリヴェーガル理論は自律神経の理論です。ゆえに、思考などの高次な認知機能の反応だけに頼りません。臨床やっているとよく思うのですが、高次認知機能、すなわち思考は結構うそをつくのです。うそでなくても人間って結構自分に都合よく物事を捉えたり考えたりするわけですね。そうするとカウンセリングがうまく進まなくなったりします。そんな中、自律神経や体は違います。体は嘘をつかないし、つきにくいので、言葉で「大丈夫」と言っていても明らかに体に力が入っている(緊張/交感神経の亢進)があると、カウンセリングのヒントになるわけです。こういった自律神経の働きから説明をすることができるようになったのがポリヴェーガル理論の重要なポイントです
HRV:Heart Rate Valiability 心拍変動のゆらぎ
ポリヴェーガル理論は迷走神経の理論ですので、心拍とも密接な関係があります。HRVは心拍変動と訳されるようですが、実は健康な人の心拍はm秒単位で測定をすると一定のリズムではなく揺らぎがあるらしい。これが、迷走神経を全て切断したり、病気だったり、臨終間際だったりすると機械でリズムを取ったかのように一定の規則正しい心拍になるんだとか。つまり、健康な人ほど心拍が揺らいでいる状態が観測されるそうです。
これは、一定のリズムではなく揺らぎがあることで何かあった時の対処の選択肢を増やしていると考えられているそう。つまり、一定のリズムで遊びがないと画一的な対応しかできないですが、揺らぎがあり遊びがあることで、いろいろなシチュエーション、トラブルに対処できるようにしているらしいです。
この心拍変動の理論は現在乳幼児突然死症候群のハイリスク胎児を見つける中で活用されているとのこと。恐るべし自律神経理論。
現代における「死」の恐怖とは
ポリヴェーガル理論では、シャットダウンやフリーズという生命の危険に値するようなストレスを受けた時の反応も説明されるのですが(擬死など)、現代人が捕食者から命を狙われるという自然界での死と遭遇することはほぼ稀です。では、現代社会においてそう言った生命の危機に遭遇した時の反応は生じないのか?と言ったらそんなことはないそうです。
現代人における「死」の恐怖は、つまり「社会的な死」。それも十分に背足迷走神経複合体の反応を引き出すストレスになるそうです。これは確かに納得できます。そう考えた時に、いじめという問題は、「恥の感覚を生み」「社会から孤立させ」「無力感を学習させる」という意味で、シャットダウン、フリーズさせるに十分な内容をはらんでいると考えられます。
コーピングとしての可動化と不動化
交感神経による可動化、背足迷走神経複合体によるフリーズとシャットダウンは、見方を変えるとストレスコーピング(ストレスへの対処)として捉えることも可能です。これは、言われてみれば当たり前のようですが、実は「なるほど!」ポイントでした。交感神経の可動化による対処は、ストレスに対する能動的な対処。背足迷走神経複合体による不動化の反応は、受動的なストレス対処です。いずれも今生じているストレスから逃れてより良い状態や環境を見つけようという生命の反応なんですね。この視点は、ポジティブな状態になろうという視点から捉えると臨床にすこし勇気を分けてくれるような捉え方だなと思いました。
いまのPTSDの診断は出来事基準?
津田さんがPTSDで起きていることも適応障害で起きていることも極端な言い方をすると神経系では同じかもしれないというのが印象的でした。つまり、今現在の診断基準とされるDSM-5で、例えばPTSDを診断しようとすると、生命を脅かすようなイベントがあることが基準に入っていたりします。すると、それが認められない人はPTSDとは診断されない。しかし、PTSDの症状とされる「過覚醒」「回避」「再体験」といったことはそういった生命の危険によるイベントを体験していない人にも起きているし、適応障害と診断される人の中にも同じ体験をしている人が確かにいるわけです。そう考えると、自律神経系で反応していることはPTSDでも適応障害でも同じであるという視点が生まれるわけですね。
安全な不動化は「愛」?
午後の自律神経反応のブレンドという話で印象的だった内容。それぞれの神経系が一緒に賦活されるというような内容なんですが、面白かったので一つ紹介。それすなわち、安全安心が担保された中での背足迷走神経複合体の反応による不動化は「愛」であるというもの。愛とか出てくると非科学的な感じがしてしまいますが、内容をきいたら納得。
つまり、用事も何もないのに同じ部屋でずーっと一緒に過ごせるかと言われると、それができるのはごく限られた関係の人。安心ができて何もしなくても(活動しなくても)過ごせるというのは、即ちそこに「愛」があるからということらしい。うん。確かに! と自分は思いました。
まぁ、愛と言ってしまうとちょっとアレですが、「信頼感」とか「親密」とかそういう類のものということでいいんだと思います。
まとめ|
ということで研修会のまとめでした。いや〜、まとまっているとは言えないしテキトーな感じですが、研修受けてそれをさらにまとめるというのは結構大変な作業なので、多めにみてください(笑 まとめないより、多少でも復讐がてらまとめた方がいいだろうという程度です。また、それが読んでくださった方の何か足しになったらさらに幸いくらいの気持ちなのです。
ということで、本日はポリヴェーガル理論についての研修会内容の振り返りでした。まとめになっておりませんが、、、、では、良い1日をお過ごしください。ちゃお🖐️
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